お産の進行 ~分娩第2期 破水から胎子娩出まで~(12月号)

お産の事故を未然に防ぐために重要なポイントは、今、目の当たりにしているお産が異常分娩かどうかを判断し、人が介入する必要があるかどうかを判断することでしょう。今回は、いよいよお産の本番、娩出期(分娩第2期)、すなわち、第1破水から胎子(新生子牛)娩出までをしっかりと観察して理解しましょう。お産で最も大切な時間です。お産の事故が多発する農場においてはお産の進行による母牛および子牛の状態の変化を理解したうえで、破水から時
間の経過とともに注意深く監視し、異常を早期に発見し適切に対処する必要があります。一方で、お産の環境が適切であり、お産の事故がほとんどない農場においては、異常分娩でない限り人の介入は不要であり、極力、母牛の自力で
の自然分娩に任せるべきです。

娩出期(分娩第2期)

第1破水から腹圧を伴った陣痛により胎子が娩出されるまでを娩出期(分娩第2期)と呼ばれています。第1破水の後、羊膜に包まれた足胞が現れ、第2破水が起こり、胎子が娩出されるまで30分から2時間以上と産次や個体により、
その進行には差があります。

尿膜絨毛膜の露出と第1破水

分娩第1期から連続する定期的な陣痛により尿膜絨毛膜が陰門外に露出して破裂することを第1破水といいます。尿膜絨毛膜は薄くその内容は褐色の尿水(胎子の膀胱から連続する尿膜管から排出した胎子の老廃物(尿))であり陰門外に露出せずに産道内で破裂する場合もあります。第1破水は短時間で多量の内容物の排出が起こるため見逃されがちですが、特有の破裂音に続く流水音が生じ、泡を伴った尿水の拡散により発見されることもあります。

(第8回図2,3参照)

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