異常分娩(難産・死産)の見極めと対処法(1月号)

お産の事故を未然に防ぐために重要なポイントは、今、目の当たりにしているお産が異常分娩かどうかを判断し、人が介入する必要があるかどうかを判断することでしょう。今回からは、異常分娩の見極めとその対処法について解説
します。お産の基本は自然分娩です。介助や助産する際にも極力自然分娩に準じ、母牛や産まれてくる子牛のための助産を心がけましょう。

自然分娩をイメージして異常分娩を見極める

前号で記述した自然分娩の流れをイメージして、異常分娩を見極めましょう。見極める方法として、①時間的な流れから判断する、②異常所見を見逃さない、この2点が重要なポイントでしょう。

時間的な判断基準で異常分娩を早期に発見する

分娩の進行において、介助に入るタイミングや難産かどうかを判断する時間
的な判断基準と考えられる原因は以下のとおりです。

1 開口期(分娩第1期)の初期陣痛が開始してから2時間が経過しても第1破水
が起こらない。
→微弱陣痛(子宮筋無力症、ホルモン異常、低カルシウム血症)・子宮捻転
2 第1破水(尿膜絨毛膜の破裂)後、30分しても足胞(羊膜)が現れない。
→陣痛微弱、胎子失位・奇形
3 外陰部に足胞が現れてから、経産牛で1時間、初産牛で2時間経過しても娩
出しない。
→陣痛微弱、胎子失位、過大胎子、産道狭窄
4 産出娩出期において陣痛の間隔が5分以上に延長する。あるいは、30分以上
分娩の進行が見られない。
→陣痛微弱、胎子失位、過大胎子、産道狭窄
以上の場合には、難産を疑い、産道からの触診検査を行うべきです。

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